怒り

2016年9月に公開された李相日監督の映画『怒り』を今更見た。
原作は吉田修一さんの同名小説。

あらすじは…
八王子で起こった夫婦殺人事件が1年経っても未解決で犯人は未だ逃走中。
そんな中で、同時に全然関係ない3つの町で身元不明の男が現れて、その3人がそれぞれ周りの人たちに受け入れられていくんだけど、警察が八王子殺人事件の犯人が整形し逃亡していると発表したら、なんと3人共モンタージュ写真の顔や利き腕などの特徴が一致していて、周りの人も怪しみ始めて…「さあ誰がその犯人なのでしょう?」って感じのサッピング方式のサスペンス映画。

その3人の犯人候補の役者がが綾野剛松山ケンイチ森山未来なんだけど、モンタージュ写真も3人の顔を混ぜ合わせたような顔写真だったりで、最後まで誰が犯人なんだろう?って気持ちで見てられる面白い作品だった。

悪い点をあげるならば、ちょっと長すぎるところ。
心理描写みたいな説明的なシーンを分かりやすくする為か、シーン1つ1つが長く感じた。「はよ、このシーンの本題はいってや!」みたいな。

後は、序盤のザッピングのさせ方が雑な気がする。具体的にどうして欲しかったとかはないけど、急やなぁってシーンが多かった。前述の説明する描写が長かっただけにそう感じた。でも、総合的に面白いサスペンス映画だった。

 以下、ネタバレありの感想。

 最初の自分の犯人予想では…
広瀬すずはさすがに殺されたりしないだろうし、綾野剛はゲイでサイコパス殺人鬼ってキャラ付け濃すぎやから、消去法的に「松山ケンイチが犯人やろ!」って気持ちで見てたら…広瀬すずは米兵にレイプされるし、綾野剛は女と密会し出すし「おぉう…」ってなった。

個人的にこの作品を見ていて思ったのが、視聴者の思想?的にひっかかる描写が多いなぁって思った。同性愛とか沖縄基地や米兵の政治的問題とか自虐的思考の若者とか。でも、この映画のそういう散りばめられた引っかかりは登場人物の環境の一部であって、こういう映画で逐一そういう描写に対して騒ぐ人はフィクション映画をまともに見れない人間だから相手にしちゃいけませんよーって具合の入り方で意図的なんやったら上手いなって思った。そんな感じ。